滅びゆく天空の街、チヴィタ・ディ・バニョレージョ

約2500年前に作られた天空の街

チヴィタ・ディ・バニョレージョ

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ローマのあるラツィオ州北東のヴィテルボ県に「滅びゆく街」と呼ばれている小さな集落があります。イタリア中部の先住民、エトルリア人によって約2500年前の紀元前8世紀頃に作られた都市、Civita di Bagnoregio – チヴィタ・ディ・バニョレージョです。
ちなみに「チヴィタ」とは、街にあたるイタリア語 città(チッタ)の語源とされている古い言葉で、イタリア中にチヴィタを名乗る街が存在しています。そこで違いが分かるように、どこどこのチヴィタというように地名がつけられていて、ここはバニョレージョ(この集落の手前にある街の名前)のチヴィタとなります。

火山灰がつもって固まった凝灰岩(ぎょうかいがん)の大地を持つこの地域は、地震によって地割れし崩れ、また雨風の浸食もあるそうです。周辺の景色を見てもその特殊な地形が見て取れます。なんとも異世界へ踏み込んでしまったような、とにかく非現実的な景色です。
かつて都市であったこのチヴィタも辺縁部から徐徐に崩れ、現在のような形になりました。浸食は今も続いているので、先に述べた「滅びゆく街」と呼ばれています。街の土台となっている部分の地表がむき出しになっている事からも、崩れていった様子がはっきりと分かります。

以前は発展していたこの都市も、地震や浸食によって存続が危ぶまれ、住民は続々と他の街へ移り住んで行ってしまいました。そして現在は、ほんの20名ほどの人が住民として残っているだけです。完全に時代に取り残されたチヴィタでしたが、その儚い美しさがだんだんと人に知られてゆき、訪れる人が増え、今は知る人ぞ知る観光名所となりました。


ローマからバニョレージョへ車で移動


チヴィタ・ディ・バニョレージョへは、ローマから車で2時間弱の距離です。車で行くのがベストですが、ヴィテルボ駅やオルヴィエート駅からバスが出ていて、ローマから日帰りで行く事もできます。

civita 1

私は今回ローマから車で向かいました。高速道路をフィレンツェ方面へ走らせ、Orteという出口で降り、あとは田舎道をひたすら走り続けます。途中オリーブ畑やブドウ畑、農場や牧場、森林があったりと、ドライブとしてもなかなか楽しめる道中です。

civita 2

まずはチヴィタへの入口となるバニョレージョに到着します。バニョレージョの街はどこにでもあるイタリアの下町という雰囲気でした。
さらにバニョレージョの街を通り抜けて、チヴィタへの入口へ向かいます。ここまでの道のりでチヴィタらしきものは何も見えません。
地理的にそうなったのでしょうが、このなかなか現れない演出にはワクワクさせられます。

PA082133ようやく入口です。ここに来て初めてチヴィタが現れ、その光景にすでに息をのみます。チヴィタへは車の乗り入れができないので、ここに駐車します。もしここが満車だとしても、バニョレージョの街中にはたくさんの駐車場所があるので、どこに停めようかと悩む事はなさそうです。

チヴィタへは300mほどの橋があって、それが唯一街と街をつなぐ通り道になっています。これがなければ完全に陸の孤島です。車の乗り入れは禁止されていますが、バイクとアーペ(三輪自動車)は通行することができ、チヴィタ住民の足となっています。観光客は歩いて行くのですが、この橋を渡るのに€1.5の通行料を払います。

ingresso di civita駐車場横にあるチケット売場


いざチヴィタへ

橋の入口にいる係の人にチケットを見せて、いよいよ橋を渡ってチヴィタへと進みます。

PA082139ちなみにこの橋、横からみるとこんな感じです。

PA082090高所恐怖症なので、この橋を渡る事に少し躊躇していましたが、思ったより道幅も広く、しっかりとした柵が両側にあるので安心して歩きました。というよりも、この光景に圧倒されて恐怖心が起きなかったという方が正しいかもしれません。この日は平日でしたが、20〜30人ほどの観光客が訪れていました。みんな途中で立ち止まって写真を撮りつつ、最後の上りあたりでは息が上がって言葉もなく黙々と歩を進めていました。

最後の階段を登りきり、ツタの絡まるアーチ状のトンネルを抜けたその先がチヴィタの街です。

PA082114ここは街の中央広場。ここからいくつかの路地が小さな街全体に広がっています。
外観と同じベージュ色の建物が並んでいますが、外観の儚い光景とは違い、清潔で可愛らしい街並が広がっていました。チヴィタに現存している建物は、中世のルネッサンス時代のものだそうです。2500年前のエトルリア時代の建物ではないにしても、中世といえば14世紀頃。この景色は1000年以上前から変わらずここにあるのです。

PA082116中央広場にはサン・ドナートというキリスト教の教会がありました。中には余計な装飾もなく、その素朴さには親近感がわきます。

ひとまず街を散策します。路地好きにはたまらない小さな道が右に左にあります。気になる小径を入って行くと個人宅だったりしたので、あまりガツガツせずに歩くことにしました。ここですれ違う観光客はほぼ全員と言っていいほど、その手にカメラがありました。どの方向を向いても味わいのあるこの街、みなさん思い思いにシャッターを切っています。
10月に訪れたので、ツタが紅葉していました。ベージュ色の壁にとても映えています。

PA082119各家々や庭には、イタリアらしく多くの植物が植えられていて、この時にも花が咲いていました。季節毎に訪れたら違う風景が楽しめそうです。
この写真の左下に写っている丸いものは、オリーブオイルを作る際に使われる石臼です。この地域はオリーブが育つのに適した気候と土壌で、古の時代からオリーブオイルの隠れた名産地なのです。現在でも先祖代々から続くオリーブ農家があり、街中のレストランなどで味わうことができます。土産物屋でもバニョレージョ産のオイルが売られていました。

PA082103気になる階段を降りて行ったら、街の端っこにたどり着きました。これは横からみたチヴィタ。断崖絶壁の真上に建つ家。その下にはかつて倉庫かなにかに使われていたであろうと思われる、廃墟となっている空間がありました。この街の歴史の長さに思いを馳せます。この部分も崩れる前は陸地であったのかもしれません。


チヴィタ・ディ・バニョレージョのお勧めレストラン

PA082093チヴィタの中にはいくつかのオステリアやトラットリア、カフェやバーがあり、食事をすることができます。今回私が食事をしたのは、中央広場からほど近い、Trattoria la Cantina – トラットリア・ラ・カンティーナトリップアドバイザーリンク)。
オリーブオイルの名産地なので、おいしいブルスケッタにありつけます。ブルスケッタはカットしたパンを暖炉の炭火で香り高く焼き上げ、刻んだトマトやオリーブペーストなどをのせ、自家製のオイルをかけて頂きます。

trattoria la cantina自家製の手打ちパスタも絶品でした。写真中央は牛ひき肉ラグーソースのフジッリ、右はカボチャの花と黒トリュフのフェットチーネです。黒トリュフがこれでもかという位入っていますが、値段はパスタ1皿 €10でした。

PA082095天気が良いと、外の席で食事ができます。タイムトリップしたようなチヴィタの街を眺めながら、その土地のおいしいものを食べるというのはこの上ない贅沢です。
そして食事がテーブルに運ばれてくると。。。

PA082101たくさんのネコ達が集まってきました。実はこのチヴィタには住民の数を越えるネコが住んでいます。イタリアは殺処分のない国なので、まさにネコ天国。数ヶ月くらいの小さいネコもたくさんいます。

IMG_0051このトラットリアの目の前に、エトルリア時代のものらしき壁の一部がありました。調べてないので確かではありませんが、もしオリジナルならば、約2500年前に作られたものとなります。その前に佇むネコ達。彼らの目にはどのように写るのでしょうか。

チヴィタ・ディ・バニョレージのレストラン
(トリップアドバイザー)


チヴィタ・ディ・バニョレージョのお土産

チヴィタの中には数件、郷土品を販売しているお店があります。
チヴィタのお土産は何と言ってもオリーブオイル。バニョレージョの周辺にはたくさんのオリーブ畑があり、代々続く伝統的なオイルは他では手に入りません。
その他にも地元産のワインやパスタ、石鹸、革製品などがありました。

PA082124何気なく入ったお店では、バニョレージョで作られているオリジナルの香水が売られていました。店員さんが商品の説明をしてくれたのですが、自信を持って勧めているその意気込みに1つ買って帰りました。3種類あるラインナップの中で選んだのは、Charme(魅力)という名前のついたフラワーベースの優しい香り。ほのかに香るところが気に入りました。ここの商品は1つ1つ手作りで、自然由来のものしか使用していないそうです。


チヴィタ・ディ・バニョレージョのお勧めホテル

この小さな街の中にもいくつかの宿があります。14世紀頃に建てられた建物に泊まれるというのは、なかなかない体験です。早朝、日中、夕焼け、夜と様々な表情を見せてくれるチヴィタ。日帰りでは味わえない日常の営みを見ることができそうです。ここは早朝に雲や霧が発生することがあり、タイミングが良ければ雲の上に浮かぶようなチヴィタを望めます。

11895814006_5b4ed91fe7_zPhoto by Fine.Shoot


チヴィタのホテル

Corte della Maestà Antica Residenza
コルテ・デラ・マエスタ・アンティーカ・レジデンサ

corte della Maesta古さを活かした内装はセンスの良さがうかがえます。最大6人まで泊まれる3ベッドルームの部屋と、4室のスイートがあります。暖炉や庭園付きのお部屋もあり、バーベキューもできます。全館無料Wi-Fi完備。宿泊料は€150〜。一番お勧めの宿です。

ホテルの詳細を見るには、下記のBooking.comのバナーをクリックしてください。そのまま予約もできます。



Civita B&B
チヴィタ B&B

Civita-B&B
チヴィタの中央広場に面した、トラットリアを兼ねたB&Bです。落ち着いたシンプルな内装で、暖炉付きのアパートメントタイプの部屋もあります。一部の部屋では無料Wi-Fi利用可。バニョレージョに無料駐車場あり。宿泊料は€85〜。



Locanda Della Buona Ventura
ロカンダ・デッラ・ブオナ・ヴェンチューラ

Locanda
白を基調に素朴な木材を使った、優しい雰囲気の内装を持つダブルルーム。朝食はコンチネンタル式です。バニョレージョに無料駐車場あり。宿泊料は€100〜。


Case di Civita
カーゼ・ディ・チヴィタ

Case-di-civita
アパートメントタイプの宿泊施設。1ベッドルームタイプと2ベッドルームタイプがあり、最大で4人まで泊まれます。暖炉やキッチンがあり、住んでいるかのように滞在できます。宿泊料は€110〜。



バニョレージョのホテル

チヴィタの手前の街、バニョレージョにも宿泊できるホテルやB&Bがたくさんあります。


B&B La Polinnia
B&B ラ・ポリニア

B&B-la-Polinnia-1広々とした部屋に、ちょっとモダンなインテリアのB&B。子供も遊べる庭園付きです。チヴィタへの無料通行パス付き。無料Wi-Fi完備。宿泊料は€50〜。




 

 

イタリアにはガイドブックには載っていない美しい場所がたくさん存在しています。有名な大きな都市もいいですが、たまにはちょっと遠征してみるのもまた違った体験になり、忘れられない思い出になると思います。チヴィタはローマから日帰りで行ける程近いので、是非冒険してみてください。

チヴィタ・ディ・バニョレージョへの行き方はこちらの記事を参考にしてください。
ローマからチヴィタ・ディ・バニョレージョへの行き方

Civita di Bagnoregio

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koto

投稿者プロフィール

2010年イタリア人との結婚を期にローマに移り住む。趣味の写真が高じてグラフィックデザインを独学で学び、フリーランスとしてちょこちょこ活動中。アート、音楽、猫が大好き。旅に役立つ情報はもちろん、イタリアで生活する上での有益な情報を発信していきたいと思っています。日本ではあまり知られていないイタリアの魅力をお届けできたら嬉しいです。

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