モデナでバルサミコ酢ソムリエとして活躍する日本人女性

モデナの本格的なバルサミコ酢とは?その内容に迫る!

 

良質な「バルサミコ酢」の見分け方
〜一級品はフェラーリと大衆車ほどの違い!〜

「バルサミコ酢」という名前のついたお酢は世界中に流通していますが、おそらく伝統的な製法で作られているバルサミコ酢を口にした事がある人は数パーセントしかいない。と断言したら、きっとびっくりされるでしょう。

一体どうやって見分けるのか?

実はいたって簡単。

原料と価格をみてください。

原料モストコット(ぶどうの絞り汁を直火で煮て濃縮したもの)、樽での熟成期間が12年以上である事。価格はイタリアモデナで100mlの瓶が、12年もので40ユーロ前後、25年もので90ユーロ前後。勿論日本に入ればこの3倍近くの値が付くことは必須です。

例えていうならば、フィアット社の赤い車、フェラーリ社の赤い車。同じ四つのタイヤの道路を走る赤い車ですが、かたや世界中の工場で大量生産された大衆車、もう一方は全てモデナの工場にて手作りされた超高級車。自ずと価格にも跳ね上がってくる。同じことです。

 

「バルサミコ酢」の鑑定方法

スピランベルトのバルサミコ酢博物館


日本にはあまり知られていないのですが、伝統的なバルサミコ酢にはモデナ県スピランベルト市にある「バルサミコ酢博物館」を併設する愛好者協会公認の試飲鑑定士の資格が存在します。私はそのマエストロクラスを取るためにただいま勉強をしているところです。

伝統的なバルサミコ酢の鑑定は5-6名の試飲鑑定士がテーブルを囲み、理化学分析され基準値を通ったものの中から、サンプルを取り、先ずは蝋燭の炎に丸底フラスコをかざし、視覚検査の色、濃淡、粘度を判定します。次に蓋を開けて回しながら香りを4指標に点数化、そしてさらに味の奥行き、広がり、糖度酸味、バランスなど5指標を点数にして400点満点で採点します。その後各テーブルの話し合いが行われ、平均値を出し、1サンプル20-30分の時間をかけて鑑定します。

伝統的製法で作られたものでない物は、理化学試験の段階で振るい落とされますので、市場に出回っているほとんどのバルサミコ酢が味見の対象にもならないというのが現実です。

 

正真正銘、本物の「バルサミコ酢」との出会い

私が香りを嗅がせてもらった何代も伝わる樽


私と伝統的な製法で作られたバルサミコ酢の出会いは、ちょうど主人と知り合った頃、イタリアで初めてのクリスマス。「1人じゃかわいそうだから、うちにおいでよ。」と誘われ、今住んでいるノナントラの家に招かれました。その時に彼のお父さんに、代々受け継がれているバルサミコ酢の樽を見せてもらったのです。

その頃なんの知識もなかった私。なんだか真っ黒な樽の匂いを嗅いでみてと言われ、恐る恐る顔を近づけると、なんとも不思議な香り。お酢なのに全く違う香りなのです。家の中に戻ると、小瓶に詰めた真っ黒な樽から採った真っ黒なドロリとした液体を味見させてもらいまたびっくり。ものすごい芳香と、優雅な甘さ、後から来る酸味。本物のバルサミコ酢を知った瞬間でした。

それから2年後2006年の9月、結婚を決めた頃でした。

「将来的には僕たちが家のバルサミコ酢の面倒を見ないといけないし、ピアチェンツァ出身の母は全く興味がなくて、一切手を出していなかったけど、モデナの伝統では女性がバルサミコ酢の面倒を見るというのが習わしだし、君作るの好きでしょ?」という一言。

これはまずバルサミコ酢の原料になるモストコット(ぶどうの絞り汁を煮詰めたもの)を作るところから見ておく必要があるだろうと、当時モストコット作りをお願いしていた方のところへ行ってみることにしました。

 

親戚、友人の応援で一から「バルサミコ酢」の勉強を開始

バルサミコ酢作りにむいている、トレビアーノ種の白いぶどう


早朝6時前トレビアーノという白い葡萄を絞り、その汁を銅鍋に入れ、直火にかけて煮詰めていくのです。朝から夜遅くまで糖度計を見ながら煮詰め、熱いうちに大瓶煮詰めて春まで寝かせると80過ぎのおじいさん。

何故煮詰めるのか、どうしてこの糖度なのか、何故白葡萄なのか。何を聞いても、

「うちの親父も、じいさんもそうしてた。」という答え。

紛いなりにも大学で微生物学や、食品科学を勉強した身としてはそれでは全く納得できない。そんな経緯から、コンソルテリーア(バルサミコ酢愛好協会)の理論講習会へ参加する事に決めました。

ミラノへ帰る電車の中でバルサミコ酢についてもっと知りたいし、結婚したら樽を増やしたい!そんな話に花が咲き、それならば結婚式の「la lista nozze (注:結婚祝い)はバルサミコ酢の樽の資金を一部親戚友人にお願いしよう。と言う事になりました。私たちの樽には、結婚式後に我が家に遊びに来てくれた日付と友達のサインが入っているのはそんな訳があるのです。


注) la lista nozze 結婚祝いの習慣
イタリアにおいて、結婚式に出席する際カップルのほとんどが、プレゼントして欲しいもののリストを作成します。名目は色々。新婚旅行だったり、台所用品専門店にほしい物リストと価格がついたファイルを置いて、その中から結婚式の参列者は懐具合に見合った物を選択します。勿論プレゼントしたいものがある人はそのリスト外のものをプレゼントすることも可能です。日本のようにご祝儀袋に現金というのはかなり稀なのです。

 

つづく・・・

モデナで働くAkaneさんのバルサミコ酢作りにかける情熱、そして彼女の現地での生活を全3回の連載としてお届けしています。最終回となるつづきは3月上旬頃に更新予定です。お楽しみに!

連載第一回目:イタリアで活躍する日本人:モデナで伝統的バルサミコ作りに挑戦!
連載第三回目:100キロの葡萄からたったの2-3リットル!モデナの伝統的バルサミコ酢作りの真髄に迫る!

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Akane

Akane

投稿者プロフィール

2007年にイタリアはモデナの旧家に嫁ぎ、9年前から伝統的バルサミコ酢作りを始めました。現在ではABTMのコンソルテリーアが認定する、日本人初のバルサミコ酢のソムリエAA(aspirante assaggiatore)資格を有し、マエストロ資格を目指して勉強中。

管理栄養士のノウハウを生かし、イタリア各地でイタリア人向け日本家庭料理を教えています。また日本人シェフのイタリアでの研修のコーディネートなど日伊食文化の交流をお手伝いをしています。

歩くことが大好き。日本の四国遍路、スペインのサンティアゴ巡礼を完歩。たまたま家の前を通るVia Romea Nonantolana 巡礼道の復旧をNPOを立ち上げ支援活動中。二児の母。

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