ローマの夜、トラステヴェレ地区で野外映画を楽しもう
最近ローマの街中のあちこちで、無料の野外映画が行われています。
つい先日の5月16日には、あのサントアンジェロ城の壁に「ロッキーホラーショー」が映し出されました。
このプロジェクトの立役者は、Piccolo Cinema America(シネマアメリカの子供)というローマ大学の建築学科に学ぶ学生中心の団体です。
事の発端は、大学の授業で行われた Management of the Building Process(建物の推移のマネージメント)。不況や時代の波により打ち捨てられた建築物をどのように再利用していくかというというもの。
彼らが目をつけたのはやむを得ず閉鎖となってしまった多くの映画館。取材やインタビューを重ね Fantasmi Urbani (ゴースト都市)というドキュメンタリー映画を制作しました。その活動の中で彼らにはたくさんのアイデアが生まれます。そのひとつ、ローマにあったある歴史的な映画館に息を吹き返すことを決めたのです。
それはローマ・トラステヴェレの via Natale del Grande(ナターレ・デル・グランデ通り)に50年代にオープンし、1999年に閉館した映画館 Cinema America です。彼らは2012年に掃除や修繕に取りかかり、2年の歳月をかけて2014年9月に小さな映画館としてCinema America を再オープンさせました。
こういった彼らの活動を受けて、たくさんの著名な人達がサポートに名乗りをあげました。映画監督、俳優、脚本家など、映画業界の人達です。
そのサポートを受けながら、Piccolo Cinema America は街中で映画を映し出すアイデアを思いつき、1年間の準備期間を経てこのプロジェクト、Cinema America Occupato を今年から始動したのです。
第一回目は トラステヴェレのPiazza San Calisto(サンカリスト広場)。それから閉館してしまった映画館の壁、Via del Corso(コルソ通り)にあった Cinema Metropolitano(メトロポリターノ映画館)、トラステベレにあった Cinema Troisi(トロイシ映画館)、Viale Regina Margherita (レジーナ・マルゲリータ通り)にあった Cinema Empire(エンパイア映画館)です。更には Cinema America の屋上、Cinema Missouri(ミッソウリ映画館)、テヴェレ川に浮かぶ Isola Tivertina(ティベルティーナ島)、ローマ大学のエンジニア学科に隣接している San Pietro in Vincoli教会の外階段、と続きました。そして先月のサントアンジェロ城の壁での上映だったのです。
これだけにとどまらず、Picolo Cinema America は6月と7月の2ヶ月間、トラステヴェレの Piazza San Cosimato(サン・コジマート広場)で、Festival Trastevere Rione del Cinema(トラステヴェレ地区映画祭)を開催しています。驚く事に、毎晩違う映画を無料上映しています。ジャンルにとらわれず、世界中の映画を紹介していくようです。
このインターネットの時代、コンピューターを開けば映画は簡単にダウンロードできます。しかし映画というのは、かつては人々の最大の娯楽のひとつであり、大きなスクリーンと大きな音響のもと、その場にいる人達と喜怒哀楽を分かち合うものでした。
インターネット世代の彼らがその文化を継承していこうとしています。彼らの飽くなき挑戦を応援する為にも、そして純粋に映画を楽しむためにも、このローマの夏の夜に出かけてみませんか?
Festival Trastevere Rione del Cinema
期間:2015年6月2日〜7月30日
上映時間:21:15〜
住所:Piazza San Cosimato(トラステヴェレ地区:サン・コジマート広場)
地図はこちら から
オフィシャルサイト:http://trasteverecinema.it/
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