イタリアで働く日本人:モデナで伝統的バルサミコ酢作りに挑戦!

モデナで伝統的バルサミコ酢作りに挑戦中

 

期待を胸に、いざイタリアへ!
〜ナポリ語学留学からイタリア人との結婚まで〜

はじめまして、Akaneです。

「イタリア人と結婚して、イタリアへ」

「伝統的なバルサミコ酢を作る」

そんなことが自分の身に降りかかるなんて、考えたことはありませんでした。

2004年管理栄養士として日本で5年勤めていた会社を辞め、興味があったイタリアはナポリに語学と食文化を知りたいとの思いを胸に渡伊。次の仕事までのリフレッシュ期間として数ヶ月の滞在と軽い気持ちだったのが、すっかり人生を変えることになりました。

ナポリに暮らしていた頃、友達の結婚式のためミラノを訪る機会がありました。その際に友人の紹介で知り合ったのが、現在の主人です。ちょうどその頃スペインのサンティアゴ巡礼を完歩したばかりで、巡礼熱(?)に浮かされていた主人に

「日本には巡礼はないの?」

「四国巡礼って言うのを聞いたことがあるけど…。」

と聞かれ、その会話がきっかけで、その数ヶ月後1250kmの四国遍路を徒歩で周る巡礼の旅に出ることになりました。私は、通訳兼ガイドとして一緒に参加しました。結局それが縁で、2007年に結婚することになったのでした。

 

イタリア人との結婚、巡礼の旅、そしてミラノへ。

「巡礼が私達の縁」だったことから、勿論新婚旅行は「サンティアゴ巡礼850km」に決定しました。全行程を徒歩で回りました。日本でも、スペインでも訪れたことのない土地を、毎日徒歩で訪れ、それぞれの地でその歴史や文化、風土に触れるのは本当に貴重な体験で、この時に考え方や物事の捉え方が根本から変わりました。

結婚当初は、夫が学生時代から住んでいたミラノのナヴィリオ地区に住みました。バルサミコ酢作りは、ミラノからモデナの田舎に通いながら続けて来ましたが、2011年に子供を育てる環境の問題や、本格的にバルサミコ酢作りに励むにはミラノからの通いでは限界を感じていたので、一念発起をしてモデナへ引越をすることに。

 

ミラノからバルサミコ酢発祥の地、モデナへ。
ノナントラへでNPOを立ち上げることに。

人口1300万人の東京から125万人のミラノ、現在の住まいがあるモデナ県のNonantola(ノナントラ)市はなんと、1万5千人です。

モデナから距離にして10km弱のノナントラはこじんまりとした街ですが、8世紀に建てられた修道院があり、かつてはヨーロッパ内で3本の指に入る重要な拠点として栄えたそうです。イタリア語の父と呼ばれるあのダンテ・アリギエーリもこの修道院で勉強をしたという記録が残っています。

このノナントラを出発点とした道路、Via Roma Nonantolana(ローマ・ノメンターナ通り)はヨーロッパ各地で名高い街道で、かつてはトスカーナ州との境にあるファナーノの修道院へ続く道として、宗教的、政治的な意味でも重要な環状道として機能していたようです。そして、「全ての道はローマに通ず」ということわざ通り、トスカーナを横切りローマへも続いていました。

今では地元の人も知る人がほとんどいないほど衰退してしましたが、2015年末から約1年間のカトリック、ジュビレオ年(特別聖年)に伴い、この道の復旧活動を、周辺の市町村を巻き込みつつ、夫が中心となって始めました。昨年末にはNPOを立ち上げて、私も微力ながら地域の活性化と歴史的な道の再興のお手伝いをしています。

 

モデナでの田園生活。17世紀の邸宅を改装した住居。

都会にしか住んだことのない私にとって、家の周りがぶどう畑で囲まれた田舎は新鮮なことばかり。特に暮らすまでは、友人達にそんな田舎で、子供の教育は大丈夫なのか?など、少なからず心配をされました。しかし、モデナ県のあるエミリアロマーニャ州は、教育、医療水準がイタリアの中で最も高い事で有名です。実際住んでみると、ノナントラ市はモデナのベッドタウンとして大変重宝されているということがわかります。子供の数も多く、習い事一つとっても市が助成金を出しており、音楽、スポーツ、芸術と色々なサービスが低価格、高水準で充実しているのです。何より自然に囲まれたのんびりとした環境で、子育てには申し分がないと思っています。そしてモデナは舅の出身地、親戚一同も色々力になってくれ心強い限りです。

この地域一帯は、伝統的バルサミコ酢作りが発祥した地であり、ランブルスコワインソルバーラ種DOP認証、モデナの生ハムに、パルミジャーノレッジャーノチーズの生産区域ですから、まさに食の宝庫!古代ローマ時代の記述にも、農作物の豊富さの記述が残っているほどです。現在でもエミリアロマーニャ州は小麦、大麦、バルバビエトラ(砂糖大根)、米、フルーツ、ワインの生産量がイタリア一位であり、「イタリアの台所」と言われる所以です。工業製品でもフェラーリや、ランボルギーニなど世界に誇る高級車の生産地でもあります。

現在の住まいは、17世紀に建てられたものを、1997年に改築して住める様にしたのですが、脳外科医の舅はイタリア各地を転々とし、現在トスカーナの海沿いに住んでおり、夫の弟妹もイタリア内外にいるため、田舎の家としてたまに来ることはあっても、住民票を入れて住むということはありませんでした。もともと、作付け量を相談する田舎家で、主人の先祖も長く住んだことがないという家だったようです。周りは畑、ぶどう畑に囲まれたのどかな田園風景が広がっています。

暖房は改築した時に付けてありますが、薪オーブンに、薪がま、そして暖炉が付いています。はじめは薪一つに火をつけるのも大変。暖炉に火が入る様子はロマンチックに見えますが薪割り、薪運び暖炉の掃除がこんなに重労働だとは知りませんでした!舅が子供の頃は乳母に、お手伝い、庭師もいたのでしょうが、今はそういう時代でなくなったのは周知のこと。これらの全てを主人と2人で管理する事になろうとは…。「田舎生活を甘く見ていた?!」と思うことも。

 

つづく・・・

モデナで働くAkaneさんのバルサミコ酢作りにかける情熱、そして彼女の現地での生活を全3回の連載としてお届けしています。つづきは2月上旬頃に更新予定です。お楽しみに!

連載第二回目:モデナでバルサミコ酢ソムリエとして活躍する日本人女性:
連載第三回目:100キロの葡萄からたったの2-3リットル!モデナの伝統的バルサミコ酢作りの真髄に迫る!

Akane

投稿者プロフィール

2007年にイタリアはモデナの旧家に嫁ぎ、9年前から伝統的バルサミコ酢作りを始めました。現在ではABTMのコンソルテリーアが認定する、日本人初のバルサミコ酢のソムリエAA(aspirante assaggiatore)資格を有し、マエストロ資格を目指して勉強中。

管理栄養士のノウハウを生かし、イタリア各地でイタリア人向け日本家庭料理を教えています。また日本人シェフのイタリアでの研修のコーディネートなど日伊食文化の交流をお手伝いをしています。

歩くことが大好き。日本の四国遍路、スペインのサンティアゴ巡礼を完歩。たまたま家の前を通るVia Romea Nonantolana 巡礼道の復旧をNPOを立ち上げ支援活動中。二児の母。

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コメント

    • Akane
    • 2017年 3月 20日

    Masshyさん、

    イタリアざんまいでもメッセージを頂きまして、
    ありがとうございます。

    サンティアゴ巡礼は、道しるべ、巡礼者用の宿泊施設がとても充実しているので、本当に歩きやすく、地図を握りしめながら歩いた四国巡礼と比べてとてもリラックスして歩けました。

    巡礼者手帳(クレデンツイアーレ)を発行してもらう際に、巡礼者用の宿泊施設の場所と距離感、標高差の一覧さえあれば難なく回ることができます。ヨーロッパ内の言語が1つできれば、なんとかなりますよ。

    あとは自分の歩きのスピードを完全に把握しておくこと、荷物を軽くすること(自分の体重の10%を超えない事)、無理せず身体のケア
    1,数時間ごとの靴と靴下を脱いでの足裏の乾燥(これを怠るとマメや靴擦れで歩けなくなります。
    2,マッサージ
    3,ストレッチ
    をしながら歩く事が一番大事です。

    ご参考までに
    あかね

    • masshy
    • 2017年 3月 18日

    なんと言う事でしょう。
    私の生涯の夢はサンティアゴ・デ・コンポステーラ巡礼の旅を成し遂げる事なのです。
    今は出来るだけ情報を集めて無事に完結出来るようにとがんばつています。
    スペイン語も多少話せるので!と言っても簡単な事ではなさそうですね。
    バルサミコの事も知りたいし。
    人生、時間が足りません。

    masshy

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