街は予想どおり
世界中からの観光客で溢れ返り、
道もまともに歩けないほどごった返していました。
仮装している人がそこらじゅうにいて、
本当に貴族の舞踏会に迷い込んだかのような
それはそれは華やかな雰囲気で
正直、想像していたよりもはるかに素晴らしく、
見るもの聞くものすべて感動の嵐でした。

この時、
とても印象に残った女性がいました。
真っ白なドレスに身を包んだ写真の女性です。
本物の白鳥（？）の羽からできた大きな扇子を背にゆらゆらと揺らせながら
一人でゆっくりと小さな運河沿いの小道を前方から歩いてきた彼女。
口元には優雅な笑みを浮かべ、
通りすがる時にふんわりと素敵な香りがしました。
地元のイタリア人も彼女の存在感に圧倒されたのか、
口々に「Il Cigno（白鳥）のお通りだ・・・」と言って
ささささささーっと一気に道を開けたのです。
その後、彼女は橋の中心で立ち止まり、
海の方を眺めていました。

そしてカメラマン達に一斉に囲まれ、
しばらく写真を撮らせた後、
無言でその場を立ち去ったのですが、
その後ろ姿の優雅だったこと
「これは現実？それとも夢？」
とふと分からなくなるほどの存在感・・・・
こんな夢のような世界は
きっとヴェネツィアでしか体験できないのでは・・・
とこの時思いました。