トレニタリア社フレッチャ鉄道の種類と路線
イタリア国鉄が民営化された鉄道会社Trenitlia – トレニタリア社。長距離線からローカル線までを運行する、イタリアのJRのような存在です。
その中でも、新幹線のような主要都市を結ぶ長距離高速列車のフレッチャ。以前はユーロスターと呼ばれていました。フレッチャの中にも種類があり、Frecciarossa – フレッチャロッサ、Frecciargento – フレッチャルジェント、Frecciabianca – フレッチャビアンカと3つの列車に分かれています。フレッチャは「矢」という意味で、それぞれ「赤い矢」「銀の矢」「白い矢」。新幹線の「のぞみ」や「ひかり」のようなもので、速度や停車駅などが違います。各列車の特徴と路線、車両クラス、料金設定などをまとめました。旅の参考にしてください。
ページ内目次
フレッチャロッサ
フレッチャルジェント
フレッチャビアンカ
フレッチャのチケット別設定と条件
FRECCIAROSSA – フレッチャロッサ
フレッチャロッサは最高時速300km/hの超高速列車で、3つのフレッチャの中では一番速い鉄道です。イタリアの主要都市の駅に止まります。路線は3種類で、トリノ、ミラノ、レッジョ・エミリア、ボローニャ、フィレンツェ、ローマ、ナポリ、サレルノ間を結ぶ「アルタ・ヴェロチタ(高速列車専用路線)」を主路線として、ヴェネツィア – サレルノ間、ミラノ- アンコーナ間です。アルタ・ヴェロチタの中にはローマ – ミラノ間をずか2時間55分で結ぶ、ノンストップ列車が1時間に1本あります。
フレッチャロッサの停車駅
トリノ、ミラノ、ローマは複数駅に停車するので、予約の際に間違えないようにして下さい。
Torino Porta Nuova トリノ・ポルタ・ヌオヴァ駅
Torino Porta Susa トリノ・ポルタ・スーサ駅
Milano Porta Garibaldi ミラノ・ポルタ・ガリバルディ駅
Milano Centrale ミラノ中央駅
Milano Rogoredo ミラノ・ロゴレド駅
Reggio Emilia AV レッジョ・エミリア・AV駅
Bologna Centrale ボローニャ中央駅
Venezia Santa Lucia ヴェネツィア・サンタ・ルチーア駅
Padova パドヴァ駅
Rimini リミニ駅
Ancona アンコーナ駅
Firenze Santa Maria Novella フィレンツェ・サンタ・マリア・ノヴェッラ駅
Roma Termini ローマ・テルミニ駅
Roma Tiburtina ローマ・ティブルティーナ駅
Napoli Centrale ナポリ中央駅
Salerno サレルノ駅
フレッチャロッサの3路線と本数
主路線のアルタ・ヴェロチタ:91本/日
トリノ – ミラノ – レッジョエミリア – ボローニャ – フィレンツェ- ローマ – ナポリ – サレルノ間
その他:4本/日
ヴェネツィア – パドヴァ – ボローニャ – フィレンツェ – ローマ – ナポリ – サレルノ間
ミラノ – レッジョエミリア – ボローニャ – リミニ – アンコーナ間
フレッチャロッサの車両とクラス
フレッチャロッサの車両は従来型の11両編成 ETR500と、2015年6月14日から運行をスタートした新型車両で8両編成のETR1000があります。車内はシンプル&スタイリッシュなデザインで、落ち着いた雰囲気です。各車両にはエアコン、充電用プラグ、荷物置き場や荷物棚、Wi-Fiサービスなどが完備しています。パニー二やドリンクなどを販売しているBAR車両あり。昼夜の食事時にはレストラン車両あり。
車両クラス
*Business Salottino は食事付きのレストラン車両(昼と夜の食事時のみ)
*Business Area Silenzio は携帯電話禁止の静かな席
FRECCIARGENTO – フレッチャルジェント
フレッチャルジェントは最高時速250km/hの高速列車です。高速列車専用路線のアルタ・ヴェロチタの一部の駅に停車する他に、ローカル線の路線を使いフレッチャロッサがカバーしていない北エリアや南エリアまで運行しています。料金はフレッチャロッサより安めに設定されています。
路線はローマを中心に、ローマ – ヴェネツィア間、ローマ – ヴェローナ間、ローマ – レッチェ間、ローマ – レッジョ・ディ・カラブリア間の4路線を主として、ウディネ、トリエステ、フィウミチーノ空港、ブレシア、ボルザーノ、トレントまで行きます。
フレッチャルジェントの停車駅
ローマ、ヴェネツィアは複数駅に停車するので、予約の際に間違えないようにして下さい。
Brescia ブレシア駅
Verona ヴェローナ駅
Bolzano ボルザーノ駅
Trento トレント駅
Udine ウディネ駅
Trieste トリエステ駅
Venezia Santa Lucia ヴェネツィア・サンタ・ルチーア駅
Venezia Mestre ヴェネツィア・メストレ駅
Padova パドヴァ駅
Bologna Centrale ボローニャ中央駅
Firenze Santa Maria Novella フィレンツェ・サンタ・マリア・ノヴェッラ駅
Roma Termini ローマ・テルミニ駅
Roma Tiburtina ローマ・ティブルティーナ駅
Fiumicino Aeroporto フィウミチーノ空港駅
Napoli Centrale ナポリ中央駅
Foggia フォッジャ駅
Bari バーリ駅
Lecce レッチェ駅
Sarerno サレルノ駅
Reggio di Calabria Centrale レッジョ・ディ・カラブリア中央駅
フレッチャルジェントの路線と本数
ローマ – フィレンツェ – ボローニャ – パドヴァ – ヴェネツィア間:34本/日
・内2本はウディネまで運行
・内2本はヴェネツィアメストレ駅からトリエステまで運行
・内2本はローマフィウミチーノ空港まで運行
ローマ – フィレンツェ – ボローニャ – ヴェローナ間:14本/日
・内4本はブレシアまで、もしくはボルザーノとトレントまで運行
ローマ – ナポリ – フォッジャ – バーリ – レッチェ間:6本/日
ローマ – ナポリ – サレルノ – レッジョ・ディ・カラブリア間:2本/日
フレッチャルジェントの車両とクラス
フレッチャルジェントには、ローマとヴェネツィアを結ぶ7両編成のETR600、ローマとヴェネツィア、ヴェローナ、ブレシアを結ぶ7両編成のETR610、ローマとヴェローナ、ブレシア、ボルザーノ、バーリ、レッジョ・カラブリアを結ぶ9両編成のETR485の3種類の列車があります。車内は茶色と白でまとまった、シンプルなデザインです。各車両にはエアコン、充電用プラグ、荷物置き場や荷物棚が完備しています。パニー二やドリンクなどを販売しているBAR車両あり。
車両クラス
FRECCIA BIANCA – フレッチャビアンカ
フレッチャビアンカは最高速度200km/hの長距離特急列車です。主要駅はもちろん、ローカル線の路線を使用しているので、フレッチャロッサやフレッチャルジェントではカバーされていない、アドリア海沿岸やフィレンツェ沿岸などの小さな町や、北部から南部の大小87の市街にも停車します。停車駅が多いので、他のフレッチャに比べると時間は多少かかりますが、料金は3つのフレッチャの中で一番安めに設定されています。また、ミラノ中央駅からはチューリッヒやニース行きの路線もあります。
フレッチャビアンカの主な停車駅
フレッチャビアンカは停車駅が多いので、ここでは利用頻度が高そうな駅をリストアップします。ヴェネツィアやローマのように、大きな都市では異なる駅名があるので、目的地の駅名を確認してから予約してください。
Torino Porta Nuova トリノ・ポルタ・ヌオヴァ駅
Milano Centrale ミラノ中央駅
Brescia ブレシア駅
Verona ヴェローナ駅
Vicenza ヴィチェンザ駅
Treviso トレヴィゾ駅
Udine ウディネ駅
Trieste Centrale トリエステ中央駅
Venezia Santa Lucia ヴェネツィア・サンタ・ルチーア駅
Venezia Mestre ヴェネツィア・メストレ駅
Padova パドヴァ駅
Piacenza ピチェンザ駅
Genova Piazza Principe ジェノヴァ・ピアッツァ・プリンチペ駅
Bologna Centrale ボローニャ中央駅
Firenze Santa Maria Novella フィレンツェ・サンタ・マリア・ノヴェッラ駅
Pisa Centrale ピサ中央駅
Ravenna ラヴェンナ駅
Rimini リミニ駅
Ancona アンコーナ駅
Roma Termini ローマ・テルミニ駅
Roma Tiburtina ローマ・ティブルティーナ駅
Napoli Centrale ナポリ中央駅
Salerno サレルノ駅
Reggio di Calabria Centrale レッジョ・ディ・カラブリア中央駅
Pescara Centrale ペスカーラ中央駅
Foggia フォッジャ駅
Bari Centrale バーリ中央駅
Taranto タラント駅
Lecce レッチェ
フレッチャビアンカの路線と本数
本数は目安です。曜日や季節、年度によって異なる場合があります。
ミラノ中央駅発着
ミラノ中央駅 – ヴェネツィア・サンタ・ルチーア駅間:32本/日
ミラノ中央駅 – ウディーネ駅間:4本/日
ミラノ中央駅 – トリエステ中央駅間:8本/日
ミラノ中央駅 – タラント駅間:2本/日
ミラノ中央駅 – アンコーナ駅間:18本/日
ミラノ中央駅 – ペスカーラ中央駅間:14本/日
ミラノ中央駅 – レッチェ駅間:8本/日
ミラノ中央駅 – バーリ中央駅間:12本/日
ヴェネツィア・サンタ・ルチーア駅 – レッチェ駅間:4本/日
トリノ・ポルタ・ヌオヴァ駅発着
トリノ・ポルタ・ヌオヴァ駅 – ヴェネツィア・サンタ・ルチーア駅間:14本/日
トリノ・ポルタ・ヌオヴァ駅 – トリエステ中央駅間:4本/日
トリノ・ポルタ・ヌオヴァ駅 – ヴェネツィア・サンタ・ルチーア間:14本/日
トリノ・ポルタ・ヌオヴァ駅 – ローマテルミニ駅間:2本/日
トリノ・ポルタ・ヌオヴァ駅 – レッチェ駅間:2本/日
ローマテルミニ駅発着
ローマテルミニ駅 – ジェノヴァ・ピアッツァ・プリンチペ駅間:12本/日
ローマテルミニ駅 – レッジョ・カラブリア中央駅間:4本/日
ローマテルミニ駅 – ラヴェンナ駅間:2本/日
フレッチャビアンカの車両とクラス
フレッチャビアンカにはE402、E414、ETR450、ETR460(Italdesign Giugiaroデザイン)などの車両が使われています。車内は落ち着いたブルーと白のデザイン。各車両にはエアコン、充電用プラグ、荷物置き場や荷物棚が完備しています。ローマ – ラヴェンナ間、ローマ – レッジョ・ディ・カラーブリア間、ローマ – ジェノヴァ間の列車には、パニー二やドリンクなどを販売しているBAR車両あり。
車両クラス
フレッチャのチケット別設定と条件
チケットの種類
フレッチャには普通料金チケットから割引チケット、スペシャルオファーチケットなどたくさんの種類があります。種類によって変更やキャンセルなどの条件が変わります。チケットが安いほど、変更やキャンセルの条件は厳しくなります。
Base | 普通チケット。発券後の予約日と予約時間の変更が、出発直前まで無料で何度でも可能。路線の変更はチケットの差額を払えば可能。また、乗車予定の列車が出発してしまった後でも、1時間以内であれば出発駅窓口にて無料の変更が1度限りで可能。変更後のチケットの方が高額な場合は差額を払います。 キャンセルは出発前であれば20%の手数料を引いて払い戻し可能。出発後のキャンセルによる払い戻しは不可。 予約したものと同路線&同クラスの列車で、発車予定時刻の前後1時間内の列車であれば、チケット変更をせずに他の列車に乗車することができます。列車乗車後に乗務員に申し出をし、1人€8の手数料とチケットの差額を払います。 |
Economy | 割引チケット。発券後の予約日と予約時間の変更は、出発前であって、Baseチケットの金額との差額を支払えば1度だけ可能。路線の変更と、キャンセルによる払い戻しは不可。 |
Super Economy | 格安チケット。エグゼクティブ以外の全てのクラスに適用されています。子供料金などの他の割引との併用は不可。発券後の予約内容と路線の変更や、キャンセルによる払い戻し不可。 |
Same Day Return Offer | 往復日帰り割引チケット。同日で同路線(乗換便は不可)での往復利用が対象。他の割引との併用は不可。予約時間の変更は出発前であって、予約したものと同条件の空席があれば1度限りで可能。予約日やキャンセルによる払い戻しは不可。 |
Weekend Offer | 週末往復割引チケット。同週末の土曜出発、日曜戻りでの利用が対象。予約日と予約時間の変更が無料で可能。路線や車両クラスの変更と、キャンセルによる払い戻しは不可。 |
Bimbi Gratis | 子供無料チケット。2~5人のグループであれば、14歳以下の子供は無料になります。大人1人以上の同乗が必須。エグゼクティブクラスは対象外。予約日と予約時間の変更は出発前であれば、1度限りで可能。 |
Familia | 家族割引チケット。2~5人の家族で、14歳以下の子供が1人以上、同乗する大人が1人以上いることが条件。14歳以下の子供は50%割引なのに加え、同乗の大人全員にも20%の割引(大人のチケットは1人頭€10以上のもの)が適用されます。予約日と予約時間、路線などの変更は出発前であれば、1度限りで可能。Bimbi Gratisが適用されているチケットにはFamiliaチケットのオファーはありません。 |
その他たくさんの割引チケットがあります。オフィシャルサイトを参照。割引の種類によっては座席に限りがあるので、常時オファーがあるとは限りません。
チケットの変更や、キャンセルによる払い戻しは、駅の窓口、予約した旅行エージェント(エージェントによっては有料)、ウェブで予約した方はオンライン上でできます。
フレッチャの料金設定
Baseチケット、Economyチケットが対象の料金設定です。
普通料金:15歳以上
子供料金50%割引:0~14歳座席あり
子供無料:0~3歳座席なし
チケットの予約方法
イタリアの長距離列車は自由席がなく、全て指定席となるので必ず予約が必要です。
オンライン予約・・・オフィシャルサイトから予約し、EmailでE-ticketを受け取る
*オンライン予約方法に関してはこちらを参考にしてください
駅窓口・・・フレッチャが停車する駅の窓口で直接購入し、チケットを受け取る
旅行エージェント・・・手数料がかかりますが、予約の手間は省けます
トレニタリア社はフレッチャだけでなく、イタリア国内で多くの路線を運行しているので、目的地や希望する時間帯によってはフレッチャ同士の組み合わせや、インターシティ線や在来線との組み合わせの乗り換え便になることもあります。予算と時間をよく検討してチケットを予約してください。
コメント
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日本の新幹線では大きなスーツケースをもって困っている外国の方を見かけるのでETR1000がどうなのか気になってました。
情報本当にありがとうございました。
Chappy さま、
コメントを頂きありがとうございます。
TrenitaliaのFreccia車内でのスーツケース置き場に関してですが、通常各車両の端の方に、スーツケースを置くラゲージスペースがあります。通常大きなスーツケースの場合はこちらに置いて席につくことになります。心配であれば、ラゲージスペースにチェーンでスーツケースを置く方がいいかもしれません。頭上のスペースに置くことも不可能ではありませんが、スーツケースが大きく重いのであれば、頭上のスペースはかなり高い位置にあるので、スーツケースを持ち上げるのがかなり大変ではないかと思います。(力持ちの男性がいれば別ですが。)
また、ラゲージスペースは、列車が混んでいる時には他の客の荷物ですでにスペースが一杯ということもありますので、できるだけ、スーツケースは小さくしていくことをお勧めします。こちらの列車は通常ホームと列車の段差が階段数段分ほどありますので、荷物が大きくて重いと、荷物を上げ下げするだけでも相当大変な目にあいます。
また、私がよく利用している方法では、列車を予約する段階で、ラゲージスペース近くの席を予約することです。こうすると、常に荷物を見張っていられるので安心です。ちなみに、座席の下にはスーツケースは入りません。
それでは、お力になれましたら光栄です。
良い旅になるといいですね!
現在イタリア一人旅を計画しています。
ミラノからローマをETR1000(Super Economy – Standard クラス)で移動するつもりですなのですが、
少し大き目のスーツケースをどうしたらよいか考えています。
電車の出入り口付近(連結部)に荷物置き場があるのでしょうか?
座席の足元のスペースが荷物を置けるほど広いでしょうか?
それとも座席上の棚は飛行機のように広いでしょうか?
もしご存知でしたら教えて頂けますでしょうか?
宜しくお願い致します。