ローマ国立博物館マッシモ宮
必見の彫刻「休むボクサー」
皆さんこんにちは。数多くあるローマ市内の博物館の中でも、今日は私の特にお気に入りの博物館、ローマ国立博物館マッシモ宮(Museo Nazionale Romano – Palazzo Massimo alle Terme)を紹介します。
ローマの玄関口、テルミニ駅至近にあるこのローマ国立博物館マッシモ宮ですが、古代ローマ帝国の栄光を誇る様々な出土品が数多く展示されており、古代ローマファンなら絶対に見逃せない博物館となっています。
ローマ国立博物館マッシモ宮とは?
館内設備、見どころ、お勧めの理由など
館内設備、見どころ、お勧めの理由など
ローマ国立博物館マッシモ宮は、考古学博物館の種類に分類されるでしょう。なんだか名前だけ聞くと堅苦しく、陰気なイメージがあると思いますが、実際は陰気度ゼロです。
ローマ国立博物館は、ローマ市内に4つの所在地があります。4館に分かれる博物館のうち、このマッシモ宮を特にお勧めするのは、展示物の種類が豊富であるだけでなく、内装や機材が新しく、空調管理もしっかりされており、展示物の配置も時代順であったり、絶妙な間隔を置いて照明を当てるなど、展示法が研究し尽くされているからです。何よりも、いつ行ってもガラガラという最高な条件が揃っています!
ローマ国立博物館マッシモ宮の館内は4階に分かれていて、 「最高神官職の衣装に身を包むアウグストゥス帝」、「もがき苦しむニオベの子」、「しゃがむビーナス」、「ランチェロッティ版 円盤投げ選手」などの彫刻作品や、古代宮殿内の壁画やモザイクの展示、古代から現在に至るまでのイタリア半島内部で流通したコインの収集コレクションなど、じっくり見学していくと半日かかります。
必見のブロンズ彫刻「休むボクサー」
その中でも、特に心が洗われるような作品が「Pugilatore in riposo」という彫刻作品です。「休むボクサー」という名前で呼ばれています。モデルはギリシャの壺によく描かれるボクサー達のように、この男性も見世物として拳闘試合を星の数ほどこなしてきた人なのでしょう。紀元前4世紀ごろの作品と考えられています。

ディティールの詳細さが見てとれます
男性の引き締まったマッチョな体には、いくつもの傷やかさぶた、それに皮膚の腫れが見られます。この像ではブロンズを(銅:錫:鉛)=(8:1:1)の割合で混合しているということですが、とにかくディティールが詳細にわたっていて素晴らしい作品です。

出血の様子など細かい描写
傷口から鮮血が噴き出しているところにも注目してみましょう。また、唇、乳房などには、赤みを帯びた色をリアルに出すために銅が使われており、右目の下のアザに至っては鉛の含有量を多くし、錫を少なめにすることで鈍い濁った赤い色を出しているところなど、かなり描写が細かいのです。
当時ギリシャのボクサーやスポーツ選手は、真っ裸で試合に挑む時、男性の局部を革紐で包み込んだらしいのですが、それも像で表現されています。とにかく細部が緻密に作成されています。
彫刻「休むボクサー」の顔に注目!

哀愁を感じさせるボクサーの顔
問題は顔なのです。この像が、この体格で、顔が「怒りのランボー」のような激しさを持っていたならば、見る人はこれほどまでもこの彫刻に惹かれないのでしょう。
しかし、ボクシングを終えて、腰掛け、ホッと一息をつき右上の方に鳥でも飛んでたのでしょうか。このボクサーが優しい目で見上げる表情はまるで仏様のようなのです。
当時は目の空洞部分に、ガラスか、鉱石かまたは象牙かがはめ込まれていたようで、今とはまた違った印象を与えたのかもしれませんが、体のたくましさと対照的に、顔は引退に向かうほどの年恰好にも見受けられます。単に「休むボクサー」であるのか、「最後の試合を終えたボクサー」であるのか私にはわかりません。しかし、顔を知った上で背後から眺めると、なんとも哀愁を感じさせます。
大理石彫刻とブロンズ彫刻
ところで、古代彫刻というと、まずミロのビーナスであったり、ラオコーンの群像であったり、大理石彫刻を思い浮かべる人は多いでしょう。実際にヴァチカン博物館でも、ルーブル美術館でも、そしてローマ国立博物館であっても圧倒的に大理石彫刻が数で勝っています。古代にはどちらも同じように生産され、皇帝や貴族の邸宅や公共施設に飾られていたものが、どうして大理石ばかりが残っているのでしょうか?簡単な話です。ブロンズは溶かして武器やコインに鋳造する事が出来たから、というのが理由です。こういった金属の再利用は帝国末期からすでに始まっていたと言われています。

背後から見たボクサー
それでは、色々な博物館でちらほら目にするブロンズ像は、溶かされなかったのでしょうか? その多くは、こういう野蛮な金属の再利用をしなくなった近代に偶然に発見されたものなんです。発掘ではなく「発見」です。カラブリアの沖合いの海底で、私の生まれる一年前に(そうつい最近のこと!)偶然スキューバーダイビングをしていた青年が見つけた、ブロンズのリアーチェ像は有名ですね。
このボクサーは、ローマのクイリナーレ丘にあった修道院の一部を平地にし、大通りの建設工事をしていた1885年にたまたま発見されたのです。もちろんローマはどこを掘っても古代の建造物が出土しますが、不思議なことに、このブロンズ像の場合、地中6メートルの深さに見つかった古代の家屋の床の下(縁の下のようなところ)に埋められていたんだそうです!まるでへそくりかのように、ひっそりと。どうも、その見つかり方があまりにも斬新であったために、今だに素性はミステリーに包まれているんです。
ローマ国立博物館マッシモ宮を一緒にご案内します!
いかがでしたか?今回は、ローマの玄関口、テルミニ駅至近のローマ国立博物館マッシモ宮で私が一番好きな作品を紹介しました。もちろんガイドの案内なら、博物館だけではなく、最も効率の良いルートで時間を最小限に使いながらローマの観光をすることも可能です!
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