Abbiategrassoのオステリア
『Osteria Santa Maria』
12月に入り、日に日にクリスマスムードも高まり、寒さも増してきた北イタリアです。普段は都会で忙しくしていても、週末には郊外でゆっくり過ごすのが生粋ミラネーゼの週末スタイルです。
ミラノからの日帰り旅行先としては、Bergamo(ベルガモ)、Pavia(パヴィーア)、コモ湖、Monza(モンツァ)などがよく紹介されていますが、今回は、日本ではまだあまり知られていないミラノ近郊の小さな町、Abbiategrasso(アビアーテグラッソ)の美味しいレストランを紹介します。あまり観光客のいないイタリアらしいのどかな田舎町です。
Abbiategrasso(アビアーテグラッソ)への行き方
Abbiategrasso(アビアーテグラッソ)は、ミラノから車で30分ほど。距離的にも29キロ程度です。高速を走れば、遠くは北アルプスの雪の積もる白い山々が望め、途中、のどかな景色に街でのストレスがかき消されていきます。自然が豊かであるとは、心まで豊かにしてくれますね。着いたのは、人口が3万2500人ほどの小さな中世の町、Abbiategrasso(アビアーテグラッソ)です。
Abbiategrasso(アビアーテグラッソ)の公式サイト:
http://www.comune.abbiategrasso.mi.it/
その歴史は長く、13世紀に遡るのだそう。この近くにはミラノのナヴィーリに続く運河があることもあり、水と深いご縁のある場所です。中世を代表する伝統や歴史のある街並みは、現代人にもなぜかホッと安心感を与えてくれます。きっと伝統の中に守られ続ける精神が宿るからでしょう。
ミラノ中央駅から列車でも1時間の道のりです。乗車券は3ユーロ程度で、一時間に一本列車が出ています。中央駅から行く場合には、ミラノPorta Genova 駅で乗り換えがあります。ミラノPorta Genova 駅からAbbiategrasso(アビアーテグラッソ)までは、たったの22分の道のりです。
家族経営の小さなオステリア、お店の雰囲気
この日、訪れたOsteria Santa Mariaは、若いカップルが運営するこの町ご自慢の歴史あるオステリアです。古い建物を上手に改装してあり、木のテーブルや椅子などがとても居心地のよい友人宅に招かれたような温かい気分にさせてくれます。「ボンジョルノ!」扉を開けるとオーナご夫婦が笑顔で迎えてくれました。こんなところも、都会にはない心の余裕がまだ残っているとでもいうのでしょうか。ほっとした気分にさせてくれました。
料理、メニュー
Osteria Santa Mariaでは、メニューの数は少なめですが、どれもオーナーの料理に対する情熱を感じさせる、季節の旬の食材を使用したものばかり。北イタリアならではの食材や調理法で料理された一品ばかりです。
この日、私たちはアンティパスト(前菜)は抜きで、プリーモをそれぞれ家族一人ずつ頂き、セコンドを二品取って、分け合いました。というのも、イタリア料理は、量が多く、食べきれないことも多々あるからです。やはり、これくらいの量が家族3人にはぴったりでした。
先ず、プリーモはRavioli fatti in casa di zucca con burro d’alpeggio e pancetta croccante(バターとかりかりベーコンで味付けた自家製のかぼちゃのラヴィオーリ)に、I nostri tagliolini di pasta fresca con burro e cardoncelli(自家製タィオリーニパスタ、エリンギのバター和え)の全く違う2皿をチョイスしました。
秋の北イタリアは、カボチャやポルチー二と呼ばれるキノコの季節です。カルドンチェーリもその茸の種類で、日本でいうエリンギ茸のことだそう。イタリアでもエリンギが食されているのは初めて知りました。ラヴィオーリは口の中でかぼちゃの甘みが広がり、絶品でした。自家製手打ちパスタのタィオリーニもしっかりとアルデンテ(歯ごたえがある茹で加減)の絶妙な茹で加減で、ふんわりと茸が香り、秋を堪能できるとても満足のいく一品でした。
セコンドは、Ganassino di Manzo brasato con Polenta macinata a pietra(豚のほほ肉の塩漬けの赤ワイン煮込みと石臼挽きのポレンタ)をいただきました。この料理は北イタリアなど、イタリア北部の寒い山間地方の典型的な家庭料理で、昔は豚のほほ肉を、低温で暖炉の火でぐつぐつ煮ていたようです。
そして、ポレンタは、コーンミールをおかゆ状に煮たもので、こちらも北イタリアでは冬によく食べられるお決まりのサイドディッシュです。このポレンタは、煮込む前は、粗めの黄色い小麦粉のような形状をしているのですが、小麦粉と同様、いろんな製法があります。このオステリアでは、石臼で挽かれたがポレンタが使用されていました。こんな小さなこだわりも、見逃せませんね。こんなに柔らかくお肉を煮るのは、職人技だと思いました。
お肉に合う赤ワインのリストも素晴らしく、テーブルの上にはさりげなく秋を演出した栗やかぼちゃのデコレーションもあり、「自然の移ろいと共に生きること、人間が一手間手を加えるから芸術も生まれるのだ。」ということを改めて実感させてくれました。食べることはアートなんですね。食はいのちの源だと深く実感しました。改めて、食材の新鮮さや調理の丁寧さに感動しました。
締めのドルチェはCrema Catalana(クレーマ・カタラーナ)とヴァニラが香るチョコレートタルト。両方とも温かく、心の芯から温まりました。美味なのは言うまでもなく・・・。
食後のエスプレッソに至るまで、ウェイターの笑顔もサービスも最高、ミラノ近郊の家庭的で温かいレストランにまた一つ出会えた喜びと共におなかいっぱい、満足度最高の幸せな気持ちでレストランを後にしました。ミラノにお越しの際は、ぜひ立ち寄ってみてください。きっと、笑顔と美味しいイタリアが待っています。
お店の詳細
Osteria Santa Maria
営業時間: 12:00-14:00, 19:00-22:00
定休日:月曜日と火曜日のランチタイム
住所:Vicolo Santa Maria, 4 20081 Abbiategrasso MI
電話:+39 02-94967782
WEB : http://osteriasantamaria.it/
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