フェンディ家の邸宅レストラン
『Ristorante Enoteca La Torre a Villa Latitia』
ローマと言えば、最近若手シェフの率いるレストランがとても頑張っているという印象を受けます。その世界に詳しい友人ともつい先日話していたのですが、2017年に新たにミシュランの1つ星を獲得したレストランの中にもそういった新世代のレストランの姿がちらほら見られました。イタリアでもグルメ界の世代交代が少しずつ進んでいるようです。
今回紹介する、『Ristorante Enoteca La Torre a Villa Latitia』は、あのブランドの『フェンディ』のオーナー一家所有の豪華なお屋敷を利用したいわゆる邸宅レストランです。内装もとても豪華なレストランで、お値段もそれなりにするので、普段使いのレストラン、というわけにはいきませんが、今回久しぶりに食事をする機会がありましたので、ディナーの様子をリポートしました。
お店の雰囲気
『Ristorante Enoteca La Torre a Villa Latitia』は、ローマの中心部を流れるテヴェレ川のそばに建ち、ポポロ広場から川を渡って反対側、徒歩15分ほどの閑静なお屋敷街にあります。1911年に建てられたフェンディ家所有の邸宅をレストラン&ホテルに改造し、現在営業されています。ブランド、「フェンディ」の立役者でもあり、次女のアンナ・フェンディ女史が、かつてはローマの住居として使用していた邸宅だそうで、通称Villa Laetitia(ヴィッラ・ラエティーティア)と呼ばれています。アンナ・フェンディ女史と言えば、日本でも結婚式場・ベルクラシックと組み、ウェディングをプロデュース開始したことで一時話題になっていましたよね。
レストランは、入口の門をくぐった瞬間に、フェンディ家一族の華やかな生活ぶりを想像してしまうような、とても豪華な作りとなっています。レストランのメインホールに入るまでに大きな廊下を通るのですが、その廊下にはバーコーナーとウェイティングルームが用意されています。大理石をふんだんに使い、調度品のひとつひとつにも彼女のセンスが至る所に散りばめられた宝石のようなお屋敷です。廊下にはさりげなくグランドピアノも。このサロンで夜な夜なパーティーが繰り広げられたのかな、とおもわずイタリア上流階級の生活を想像してしまいます。フェンディ家所有の邸宅を見学するだけでも非常に価値のある体験ですね!
さてさて、そんな100年以上も前に建てられた邸宅内にあるレストランですが、まず雰囲気にうっとり。とても女二人で食事するにはもったいないようなロマンチックな空間でした。こんなお屋敷が実際に生活をする家だったなんて、素敵すぎます・・・。
料理、メニュー
さて、今回あまりお腹が空いていなかったことから、メニューはどうしようかな、アラカルトでもいいかな、とちょっと迷ったのですが、せっかくなのでコース料理をいただくことにしました。
この日のコース料理は2種類あり、7皿のフルコース料理からなる「Journey with Eyes Closed」€130と、少し控えめの5皿のコース料理で構成された「Excursion」€95でした。
おそらく7皿のフルコースは量が多く途中で苦しくなってしまうだろうと思い(笑)、控えめに「Excursion」の方をチョイスしました。正解でした。控えめといってもそれなりのボリュームはありました。日本人ならこれで十分お腹がいっぱいになってしまうと思います。
そして、肝心のディナーは驚きの連続でした。まず見た目が宝石箱のように美しい。そして、その美しさにまるで反するかのようなパンチの効いた一品がコースの中に散らばめられているというものでした。
まずはフィンガーフードから。日本でいうお通しですね。まるで彫刻のような精密な手仕事に息を呑みました。フィンガーフードは通常手でつまんで食べるのですが、コーティングが爪に食い込む恐れがあるので、女性でネイルが気になる方は、フォークを使用することをお勧めします。笑
ここで、一緒に食事をした女友達と、シェフのDomenico Stile氏のスタイルを想像。「きっと、これは草原をイメージしていて、このふたつは草原を散歩中に見つけた果物とトリュフかな?」などと談話しつつ、さらなる料理に期待が膨らみます。
期待の中登場した一皿目の前菜は、「赤海老のカルダモン風味、ストラッチャテッラと果実、ミント風味のコロッケ」でした。赤海老の甘さがミントと調和され、口の中で果実のソースが爽やかさを足してくれる、至福の瞬間だったことは言うまでもありません。新鮮なエビとフルーツのソースは合いますね。
そして今回の目玉はなんといってもこれ!2皿目の前菜、「卵と水牛のタレッジョチーズ、黒トリュフ被せ」です。これは絶品としか言いようがありません!!トリュフと半熟卵が苦手な方には絶対避けて欲しいですが(笑)、半熟卵の上に、タレッジョチーズのソースがたーっぷりとかかり、さらにその上に黒トリュフがふんだんに乗せられた逸品です。卵のとろけ具合と、生々しいほどの黒トリュフの風味、そしてタレッジョチーズとのハーモニーが今までに食べたことのない強烈な何かを喚起させます。思わずマネージャーを呼んで、「これは完璧すぎるのでは!?」と感動を伝えてしまったほどです。
プリモは、長ったらしい名前ですが、「野ウサギとグリル・アーティチョーク、DOPプロヴォローネ・デル・モナコチーズ、発酵ブラックガーリックのニョッキ」でした。ニョッキ自体は、ローマの他のレストランで食べ感動したものに比べると少しもちもち感がありすぎて個人的にはもう少し軽くてもいいかな、と思いましたが、グリルアーティチョークとDOPプロヴォローネ・デル・モナコチーズと発酵ブラックガーリックのコンビネーションに唸りました。なんというかとても深い味わいで、この3つを合わせるとこんな味になるんだ、という新たな発見でした。
マネージャー曰く、シェフのDomenico Stile氏は、ナポリ出身なので、タレッジョチーズなどナポリの特産品を使うことに特にこだわっているとのことでした。郷土愛が感じられますね。
そして、本日のメインディッシュはこちら「仔豚とスカィオッツィ、マスタードとリクィリッツィアの泡」です。「スカィオッツィ」というのは、初めて食べましたが、これまたナポリはフォッジャ地方の郷土料理で、ポレンタを揚げたものだそうです。この仔豚の肉の柔らかいこと!!こんなに柔らかくジューシーな仔豚を食べたのは本当に久しぶりでした。リクィリッツィア=甘草が苦手なので、一瞬どうしよう?!と思いましたが、特にリクィリッツィア独特の風味はなく、完食できました。付け合わせのマリネは、パクチーが使用されていたようで、少し東南アジアの風を感じました。
最後のデザート「パスティエラ・クリームとグレープフルーツ、アキレアと柑橘シャーベット」は、素晴らしく存在感のあるプレートに盛られて出てきました。とにかく盛り付けが美しい!食べるのがもったいなく、ため息が出そうな盛り付けです。パスティエラのクレーマは、これまたナポリの郷土料理ですね。カリッカリに焼かれたフルーツがとてもおいしく、これはあと何個でも食べれそうな感じでした。ドライフルーツだけパックにして売ってくれたらお土産にしたいほどです!
結局、5皿を友人と二人でペロリ。この『Escursione(エクスカーション)』というコースは、本当に草原を散歩するかのような、まるで見知らぬ土地をワクワクする旅をしているかのようなメニュー構成でした。
女二人で会話に花を咲かせながら、とても充実したひと時を過ごせました。ただ、ミシュラン1つ星、ガンベロロッソでは3フォークを獲得しているだけあってお値段が張るので、普段使いのレストランではないですね。記念日などに思いっきりロマンチックな空間で夢のようなひと時を過ごすためにはいいかもしれません。もう少し気軽に試してみたい、という方には平日火曜日から金曜日のランチタイムには、€60のビジネスランチもあるそうです。
お店の詳細
Ristorante Enoteca La Torre a Villa Latitia
営業時間: 12:00 – 15:00、20:00 – 22:45
定休日:日曜日
住所:Lungotevere delle Armi, 22, 00195 ROMA
電話:+39 06 45668304 携帯電話:+39 349 37 07 021
WEB : https://enotecalatorreroma.com/en/
行き方:地下鉄Flaminio駅から徒歩約15分、バス982番「LGT Armi/monte Grappa」停留所下車、495番、628番「Montanelli」停留所下車
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