ローマっ子の愛する下町、
トラステヴェレに行ってみよう!
ローマ郊外のカステッリ・ロマーニに住む私にとって、ローマの地図に載る中心部に住む人は、便利でいいなあと思うのですが、その中でも「トラステヴェレ地区に住んでるのよ」という友人達にはジェラシーさえ覚えるほど、特別な憧れがあります。
トラステヴェレのイメージはやはり、お洒落な下町。昔懐かし雰囲気を残す路地にはバール、パブ、輸入食品店、それに数々の気取らないレストラン等が立ち並んでいます。カラフルな建物の上階には普通に人が住んでいるし、毎朝サン・コジマート広場には青空市場が出ていて、毎日新鮮な野菜などが手に入る、という具合で生活に根付いた粋な地域なんです。
トラステヴェレ地区へは、ローマ中心のヴェネツィア広場からトラムの7番で10分もかかりません。実は今では人気がありすぎて不動産価格は上昇し、金持ち外国人が多く住み着く地区となっています。さらに憧れが募ります!
トラステヴェレの歴史
少しトラステヴェレの歴史を見ていきましょう。
トラステヴェレという名前が「テヴェレ川の向こう側」という意味であるのはご存知の方も多いでしょう。ローマが建国された頃には、まだまだテヴェレ川の向こうはエトルリア民族の領域でした。徐々に橋が渡されていき、橋の近くに港が建てられていき、トラステヴェレは商業的に重要な通行の拠点となりますが、川の向こうのトラステヴェレはローマの外であり、ユダヤ人であったりシリア人であったり主に東方の外国人が住み着く地域だったのです。初代アウグス帝がようやくローマ行政区に組み込んでいったわけですから、長いローマの歴史の中でトラステヴェレがローマとなったのは、ほんの2000年前の事なのです。
ローマ帝政期には、港の労働者や、手工業者、ヴァティカンの南側に大きなレンガ工場があったものだからそういった工場労働者などが住むようになります。その後も中世期を通して、庶民の住む地区であり続け、その時代の建物がほとんど残されています。
現在は、トラム7番の通るトラステヴェレ大通りによって、この地区は南北に分断されています。
トラステヴェレの見どころとお勧め半日観光コース
トラステヴェレ地区には魅力的なスポットが沢山あるのですが、今回は3ヶ所に絞ってお勧めの半日モデルコースをご紹介します。さあ、トゥリルッサ広場( Piazza Trilussa)から一緒にトラステヴェレの街歩きをスタートしましょう!
セッティミアーナ門 – La Porta Settimiana
シスト橋の正面にあるトゥリルッサ広場から、まずはセッティミアーナ門(La Porta Settimiana)に向かってください。この門は、セッティミウス・セヴェールス帝によって元々築かれたところからこのような名前で呼ばれています。
この門を潜ると、右側にファルネジーナ宮殿があります。ファルネジーナ宮殿は、1500年代はちょうど大富豪キジ家の別荘として建設中でした。当時、内装の注文を受け現在も残る「ガラテアの勝利」を描きにやって来ていた美青年画家がいました。その名も有名なルネッサンスの巨匠ラッファエッロです。
ラッファエッロは、自画像などで見ても改めて納得できるのですが、イケメンすぎてモテモテでした。この時期ラッファエッロがぞっこんだった彼女は彼の職場のすぐ近くに住んでました。パン屋の娘です。ランチのパニーノを毎日のように買いに行ってたんじゃないかと想像してしまいます。
その家は今でも残っており、セッティミアーナ門を見て右側の角、サンタ・ドロテア通り20番地と言われています。マルゲリータ・ルーティという名前があるものの、通常フォルナリーナ(パン屋の娘)というニックネームで知られています。どんな顔をしていたのか?バルベリーニ美術館に展示されていますから、この絵も是非ご覧になってください。ちゃんと彼女の左の腕に、腕輪がはまっていて、ラッファエッロのサインがあります。ラッファエッロが37歳で亡くなった時にはこの絵を大切に片隅に置いていたそうです。
セッティミアーナ門を後にし、今度はアトレータ通りまで以下の地図を参考にして歩いてみましょう。この界隈は、テイクアウトのできるピザ屋や、ちょっとおしゃれなレストラン、ビストロなどが多くあり、トラステヴェレらしさを感じることのできる素敵なエリアです。
アトレータ通り – Vicolo dell’Atleta
さて、アトレータ通りに着いたら、Spirito DiVino(スピーリト・ディヴィーノ)というレストランを探してみましょう。アトレータ通りは短い道ですから、すぐに見つかると思います。
このレストランの建物は、実は中世期のシナゴーグ(ユダヤ教の神殿)だったところなのです。この旧シナゴーグの地下で、現在ヴァチカン美術館に置かれている「アポクシオメノス」が発掘されました。
「アポクシオメノス」とは運動後に体の汚れを拭うスポーツ選手を表現した彫刻のことです。このスポーツ選手の彫刻が発掘されたものですから、この道の名前はアスリート(イタリア語でアトレータ)通りと名付けられているのです。
レストラン、Spirito DiVino(スピーリト・ディヴィーノ)では、是非お食事をなさるのもいいですね。このレストランでは、地下に古代の床や壁が残されており、現在はワインセラーとして使われています。レストランで食事をする際、オーナーにお願いすると、きっと地下まで入らせてくれ、ワインセラーを見学させてくれるはずです。
今度はレストラン、Spirito DiVino(スピーリト・ディヴィーノ)を後にし、サン・フランチェスコ・ア・リーパ教会まで以下の地図を参考にして歩いてみましょう。500メートル程度ですので、あっという間に着いてしまいます。
サン・フランチェスコ・ア・リーパ教会 – Chiesa di San Francesco a Ripa
さて、サン・フランチェスコ・ア・リーパ教会(Chiesa di San Francesco a Ripa)に到着です。
この教会の奥は、今でも何人ものフランチェスコ会の修道士が生活をしている修道院になっています。1200年台前半に、アッシジの聖フランチェスコが一度滞在をしていた小さな小さな部屋が、教会奥の2階に保存されています。また、修道士たちの祈りの場には、亡き修道士の遺骨が聖遺物として大切に保管されています。
私はこの教会に入る時、特別に気を遣います。教会というのは、ローマの場合、祈る場として全人に無料で解放されているものの、やはり、キリスト教徒のための神聖な場です。本来ならば有名な画家の絵画や壁画を見るだけのためにやたら滅多に入っていいものではありません。
けれども、仕事上、ミサなどが行われていない時間を見計らって、お客様と色々な教会にお邪魔させていただくことがよくあります。抜き足差し足とまでは言わないまでも、静かに入り、静かに作品を見学し、静かに説明をし、その場を後にするわけです。しかしこの教会は、修道院の規律も厳しいのでしょう、静かに祈っていらっしゃる方も多く、修道士の方もよく教会に出入りされ、内部に置かれているベルニーニの作品だけを嬉しそうに見るだけ見て去って行く観光客にいい顔はされません。
こういった教会側の事情を理解した上で、バロックの巨匠ジャン・ロレンツォ・ベルニーニの作品「福女ルドヴィーカ・アルベルトーニの法悦」をご覧になりたい方は、教会左奥に置かれていますから静かにご見学ください。
ベルニーニがこの作品を掘る少し前に列福されたルドヴィーカは、実際にトラステヴェレに生きた女性で、この教会に通い、数々の慈悲深い行いをし、生前に何度も神と交わる経験をしたと言われています。この福女のなんとも言えない至福の表情が表現されている素晴らしい作品です。
ローマの半日観光を一緒にご案内します!
いかがでしたか?今回は、私の好みでトラステヴェレ地区のお勧め観光地を3スポット選びましたが、他にも、歴史深いサンタ・マリア・イン・トラステヴェレ教会や、サン・クリソゴーノ教会なども必見ですし、サンタ・マリア・デッラ・スカーラ教会付属の中世の薬局を見学してもいいですね。もちろんガイドの案内なら、最も効率の良いルートで時間を最小限に使いながら観光をすることも可能ですよ!
観光地から観光地の移動、散策中にお洒落なセレクトショップでショッピングをしたり、喜ばれるお土産に最適なショップに寄ったり、美味しいジェラートを頬張りながらローマらしい雰囲気の良い小道を散策したり・・・。一日プランにしてランチでローマ郷土料理に舌鼓を打つのもいいですね。一日観光の場合、他の観光地も盛り込むことができます。もっと効率的に短時間で多くの観光地を見てまわりたい場合には、ドライバー付きの専用車を合わせて手配もできます。特に小さなお子さまや年配のご家族がいらっしゃる場合には、猛暑の専用車での移動は快適で大変喜ばれます。テルミニ駅でのピックアップ、送りももちろんできますので、観光ルートのご相談から、料金まで、お気軽にお問い合わせください。皆さんにローマでお会いできるのを楽しみにしています!
お問い合わせは、以下のフォームよりお願いいたします。
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