日本と同様に少子化がますます進み、出生率の低下が著しい近年のイタリアですが、2014年11月にイタリアのISTAT(国立統計研究所)が発表した統計報告書によると、2013年にイタリア国内で生まれ、出生届が提出された幼児の総数は51万4308人となっており、前年、2012年に比べ約2万人の減少。2008年以来、総数6万2000人の減少となりました。1995年の過去最低記録数からはさらに総数11万人の減少となり、イタリア国内の出生率のさらなる低下への新たな懸念が広がっています。
報告書では、過去5年間の婚姻率の急激な減少、イタリア全体の婚姻数に対する婚外子の増加傾向、イタリア人同士の両親のみならず、外国人同士の両親、又は片親が外国人の両親から生まれた幼児の総数も減少していることが明るみになり、イタリア全体の少子化がさらに深刻化していることを印象付けました。
イタリアに住む一外国人として思うこと・・・
実際に、イタリア人の友人らの間でも、子どもがいないカップル、子どもを作らない決断をするカップルが最近増えているなと感じます。彼らと話していて常に聞く言葉は、「不況が続き明るい未来が持てないイタリアという国で子どもを育てるメリットが感じられない」「子どもがいるカップルは、皆大抵共働きで、育児との両立がとても大変そう」「政府や地方自治体などが働く女性支援を全くしていない、公共機関からのサポートがないと感じるので、子どもを産むと生活が悪化しそう」「子どもにイタリアの教育を受けさせたくない」「子どもにとってこの国の明るい未来が期待できない」など様々です。確かに、不況が長引き、経済が低迷している今のイタリアという国で、子どもを生み、育てていくというのは大変だなと思います。この数字もある意味今のイタリアのあまり明るいとはいえない現実を反映したものとなっているのではないかと感じます。
同じISTAT(国立統計研究所)が発表した統計報告書によると、15歳から35歳の国家の重要な労働力でもあるイタリア人が国外に職を求め移住した数は2012年には約2万6000人、2008年に比べ1万人の増加。過去5年間ではイタリア人の若者が国外により良い生活を求め移住した総数は10万人にも及んでいます。イタリア全体の失業者数は630万人。この内国家の労働力となる若者の失業者数は、半数を超える320万人にも及びます。高失業率の問題、イタリア人若者の国外移住傾向もこれからさらに少子化に拍車をかけていくのではないでしょうか。
このような状況を踏まえ、政治不信もピークに達しており、イタリア国民が「イタリアの行く末が不安になる」というのも頷けます。ただ、やはり少子化というのは長い目で見るとその国の労働力の減少、ひいては国力の衰退にも繋がっていくものなので、イタリア政府が今後どのような具体的な対策を取っていくのかが問われています。
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