簡単で美味しいサルティンボッカのレシピ
イタリア料理の名前はその意味を知ると、面白いものが結構あります。例えば、アクアパッツァは、aqua(水)pazza(気が狂った)で「狂った水」。魚をグツグツと煮込むその見た目から命名されたのでしょう。カルボナーラは、carbonara「炭焼き職人」で、たっぷりとかけた胡椒が炭のように見えるため、ススだらけの炭焼き職人がパスタを作ったらこうなるだろうというものです。プーリア州名産のパスタ・オレキエッテは、orecchiette「小さな耳」という意味で、その形が耳のようだからです。想像力豊かなイタリア人らしく、素材や料理、調理法の中にも物語を見いだしています。
そんな中でも特に面白いのが、サルティンボッカ。saltare(跳び上がる) とin(~の中に)、そして bocca(クチ)がくっついて、「口に飛び込んでくる」という意味です。ア・ラ・ロマーナ(ローマ人の)という名前からも分かるようにローマの伝統的な郷土料理で、その調理法が簡単で早く出来上がり、すぐに食べれることに由来しています。
サルティンボッカは、ローマのレストランでも家庭でも頻繁にテーブルに登場します。簡単なわりには味もよく見た目もいいので、私もよく作ります。
準備するもの
仔牛の薄切り肉・・・1人分:10cmくらいの大きさ4切れ
生ハム・・・肉と同サイズ&枚数
生セージの葉・・・肉と同じ枚数+α
オリーブオイル・・・大さじ2
バター・・・大さじ1
白ワイン・・・1/2カップ
小麦粉・・・適量
爪楊枝・・・肉の枚数分
作り方
1,薄切り肉と生ハムを10cmくらいに切り、セージの葉も準備します
2,肉の上に生ハムとセージの葉をおき、爪楊枝でとめます
3,小麦粉を両面にまぶします
4,余ったセージの葉をキッチンばさみで細かく切ります
5,オリーブオイル、バター、細かく切ったセージの葉をフライパンに入れて中火にし、あたためます
6,フライパンが十分あたたまり、セージの香りがたってきたら、生ハム側から焼きます
中火と弱火の間くらいで両面に焼き目をつけるようにじっくり焼いてください
7,白ワインを投入して、小麦粉とバターと白ワインが混ざるようにフライパンをゆすります
クリーム色のソースになったら火を止めて出来上がりです
バターや白ワインはお好みで量を調節してください。バターが多ければコクが増しますし、白ワインが多ければソースが多めになるので、パンにつけて食べたりします。
*今回は白ワインが足りなかったのでいい感じのソースが出来ませんでした。
ちなみにお皿に残ったソースをパンにつけて食べる事を、南イタリアではスカルペッタと言います。scarpettaは「小さな靴」という意味です。1口サイズのパンをソースにからめる様子が、小さな靴をはいてソースの中を滑っているようだからと言われています。こんな事にもイタリア人は物語を作って命名しているところがさすがです。
スカルペッタはあまり行儀のいいものとはされていませんが、これをやると料理を作った人は喜びます。「おいしいからソースも残さず食べたい」という意味が込められているからです。高級レストランではお勧めしませんが、ちょっとカジュアルなレストランなどでお皿を下げられそうになったときに、「スカルペッタ」と言って引き止めると大抵笑顔で戻してくれます。よかったら試してみてください。
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